【推しの子】の実写ドラマ版を、Amazon Prime公開分全話、そして劇場映画での最終回を初日に観てきました。
感想は「とても良かった」。
元々自分はアニメ等の実写化にはほとんど興味が無く、特別評判が良くなければ見送ろうと思っていたものの、、いざ公開されると非常に評判が良く、それならば自分も観てみることにしたのでした。
感じたことを色々まとめておこうと思います。
全体通して
話が上手くドラマ向けに再構成されている
・まずドラマ向けに上手く話やシーンを取捨選択して限られた時間に濃密に再構成されており、話がドラマ向けに最適化されている。テンポが良く、よりのめり込むように見ることができたと思います。
・東京ブレイド編での「漫画と実写は全く別。漫画の感覚でそのまま実写の脚本にすればいいわけではない」という話のまさに良き手本として示されたような、実写には実写の表現や良さがあるんだなと感じさせられるものでした。
-漫画やアニメではよくある、登場人物の脳内一人事がぐっと減っているのも特徴の一つ。口にする言葉、あるいはその間から上手く表現がされている。実写は基本的に時間が止まらないというのは一つの特徴と改めて感じました。
・勿論原作からカットされてしまったものも色々。ちょっと面白かったワンシーン、特定のキャラにフォーカスしたエピソード、結局不要だった伏線などなど。実写に向いているか、アクアとルビーの復讐劇に関わる話か、という観点で取捨選択されたと思われるもので、それに違和感を感じることはありませんでした。
個人的推しのMEMちょの好きなエピソードが削られていたのはちょっぴり寂しかったもののそれも作品の流れを考えると納得。MEMちょの魅力は原作とアニメで感じよう。
登場人物の再現度が高い
・登場人物の再現度も高く演技にも違和感を感じない、というかこちらも本物と言えるクオリティ。個人的には特にルビーとアクアの配役・演技がぴったり過ぎる。
B小町の3人もまさにB小町。ライブシーンもアニメに負けず劣らず。原作で見たかった「3人はyoutubeチャンネルでどんな動画を出してるのか」が実際のyoutubeチャンネルで実写版として見れたのは嬉しかったです。
・ミヤコさんが、原作だとミヤコママって感じだったけどドラマ版だと出番やセリフの調整もありミヤコ社長って感じに。これはこれで良いと思う。
・総じて演者や作品に関わった方々の原作へのリスペクトがしっかりと感じられる仕上がりと感じました。ドラマ版の推しの子を観た後にアニメを観たら「あ、「アニメ版」だ」と思ったくらいに。
初見の人に推しの子入門として見せるのに、このドラマ版も自信を持って勧めれる選択肢の1つになったと思います。
以下アニメ範囲以降のネタバレ含む
・スキャンダル編の話を、有馬がはっきり被害者になるような感じにしてくれたのが良かった。原作ではだいぶ燃えた話らしいので、アニメ版もこうならないかな...。
こういうところを見逃さず上手く話を調整してくれるところも上手いなと思うし好きです。
以下映画や結末のネタバレ含む
・前半の原作第1部パートはもう少し短くてもよかったかなと思ったりもしたものの、ルビーとアクアが互いの転生元を知る感動の再会や、「15年の嘘」を描くために必要という判断だったのでしょう。
・結末は、大筋は原作と同じで、アクアとカミキが心中するという結末に。原作を読んだ時に私もちょっとがっかりした話でしたが、それでもドラマ版でもこの結末にするのは、撮影時期や原作へのリスペクトを考えると仕方ないかなと思いました。勿論原作とは異なるハッピーエンドに行ったら嬉しかった気持ちもありつつ、あえて結末は変えずにドラマ版に調整して描き切るというのも立派な仕事だと感じました。
結末は同じでも、カミキの異様さが際立っていたと言うか(演技力がすごい)、切迫感があったというか、ああせざるを得なかった、追加された黒川あかねの伏線も含めて2重の意味で「ルビーを守った」という感想が強く残るようになり、原作よりも納得感が強かったと思います。
...冷静に考えると、カミキはあんなに目立つ事件起こす?とか、どうやって控室に侵入した?とか気になるところもまあ出てくるのですが、カミキはイカレた奴だったからでも通るかなと。
真犯人判明した時にすぐに壱護さんに話して壱護さんにぶっ殺してもらえば早かった?それを言っちゃあ終わりです。
・有馬かなの卒業ライブが前倒しされており、卒業ライブをアクアが見ることができていた。(それに関する恋愛回りの話はカット)。個人的に良改変。このあたりも、結末のバッドエンド感を和らげてくれていたのかなと思いました。
終盤の寄り道話(勿論原作では楽しく読んでました)や結局不要だった伏線が無くなったことでスムーズに話が進み結末の納得感が高まったように感じました。改めて、原作を最大限リスペクトした上でのドラマ向けの話の再編集が上手い作品だなと思ったのでした。漫画の実写化として、一つの作品として、とても良かった。